番外35話
当初35にもってこようとしたものとは別物です。結局迷って、こちらに。
この話はオフの人でも「あ、この話読んだ！」という人は少ないはずです。なぜならこれは唯一、携帯ではなく紙媒体に記した短編だからです。episode.0 。燔祭本編で言うと、「あの日」シリーズの直前です。
師匠は唯一、自分を「普通の人」として見てくれる人。だから、「神」を望まれる場所に行く前に、甘えたくなかった。会わずに旅立ちたかった。
イライアは「憧れ」。傍にいてほしかった。けれど行ってしまうなら、必ず追い付いてみせようと誓った。
神が彼に課すものを、神が自分たちから彼を奪っていく様を、見たくはなかった。だから引き止めはしなかった。けれど、手放したくはなかった。

やがてアレンは神に愛され、クロスは、イライアは……この続きは来年（もしかしたらそれ以降？）の本編で、お楽しみください（笑）

それでは、2010年はこれにて。
夜曇依都でした。

2011年が、あなたにとって幸せな一年でありますように。

本編30話
弔いの鐘＝過去話の第二話です。師弟それぞれの視点から、12月23日へ遡りました。本当はイライアの回想中にトーマスとの会話もあったのですが、敢えて割愛し、最後のワンシーンを付け加えることに。理由は単に、明るさを排除したかったからです。しかしまぁ、23日について書くはずだったのが、いつの間にか漆黒の銃の譲渡まで話が広がってしまいました。だから詰め込んでしまった感はあるものの、当初のものよりは良くなっている気がするので満足です。
本来、携帯→下書き→清書→PCという流れで、四回話を書いているのですが、清書の時間がなかなかとれず、今回は初の下書き→PCになりました。だからもしかしたら書き直したくなるのかもしれない……でも携帯保存期間が恐ろしく長く、何度も推敲は重ねているので……大丈夫かな。

主人公・イライアは不自然なくらい「良く出来た子」です。そして対照的なのが、今回ちょこりちょこりと登場した妹・エリザ。甘えん坊です。身内にはよく可愛い、と言って頂ける子ですが、お兄ちゃん子なので、「お兄ちゃんを取られる！」と思うと急に嫉妬深くなったり。そんなこともあって、本編でもアナザーバージョン（1月16日追記参照）でも、イライアのコンセプトが「全てを赦す」であるのに対して、エリザのコンセプトは「決して赦さない」となっています。

子供好きの身としては、プレイベルの子供たち（イライア、親友トーマス。エリザ、名前だけ登場のサーシャ）の話も是非書いてみたいところですが、原作キャラは皆無なので、需要がなさそうですね（笑）

それでは本日はこれにて。
夜曇依都でした。

誕生日短編。
明るい話になりました。でも実は、ほんの一行二行、シリアスが混ざっています。夜曇クオリティってやつですね（笑）今回の話は、実にベタなケーキネタです。リナリーが何をクリームに入れてしまったかは、皆様のご想像にお任せします。ところで主人公は、一応味がおかしいことには気づいています。国籍故の味オンチではないですよ！この話を身内に先行配信した際、「いつか食中毒になるよ」と笑われたのが良い思い出です。

本編29話。
中国船上編、終幕です。なんと、20話台のほとんどが中国編だったという長さです。ですが、ここは色々な契機があったり、過去を絡めたりと想い出深く、また随分と作りこんだ回が多かったのが印象に残っています。中でも「福音」とリナリーへの想いとか、イメージを崩さないように主人公の人間らしさを出そうと、随分悪戦苦闘しました。そのシリーズの、ラストです。アニタさんは凄く強い女性だと思います。原作でも、（エシ戦も泣きましたが）この別れのシーンはぼろ泣きでした。
主人公は立場上、弔いをすることもあれば、誰かの秘密を知ることも、泣きごとを聞く機会も非常に多い。けれど、既に命はこの世に無いなんて、それを本人から聞くなんて経験は無いと思った。だから、もし先に告げられたら、なんて反応をするんだろうとずっと考えました。実はプロット、下書き、サイト版、と全部細かな描写や台詞が違っています。考えた結果の、集大成がサイト版29話です。頑張ってくれた彼らが、安らかに眠れますように。結局は、その想いに尽きるんじゃないかと。

本編次回は、原作を少し離れます。

それでは！本日はこれにて。
夜曇依都でした。

本編28話。
形代（かたしろ）とは、お祭りのときに神様などの代わりにおく人形のことです。本来の意味とは少しニュアンスが異なりますが、敢えて今回のタイトルにしました。
周囲の印象と本人が思う「自分」にギャップがありすぎる主人公ですが、この回は特に悩みました。リナリーが無事だったら、きっと嬉しくて、なにより安心して、きっと泣きたくなるに違いない。けれどイライアは、サポーターばかりの船上においては「神様」でなくてはいけない。本人も、周りに心配されることを極端に嫌うので、うっかり泣くことはしないだろう――そう思ったのですが、結果、こうなりました。彼女が、「過ぎた世界」の「形代」だからです。いつもより弱いところの多い主人公ですが、逆に一番人間らしい話になっていると嬉しいです。

とにかく、隙をみて拍手を整備しないと……ですね。「それでも」に似た詞のセットか、それとも続きもの短編か。どっちを先に上げようか、少し迷います。どっちがいいですか？

それでは本日はこれにて。
夜曇依都でした。